今回のM.I.D.マガジンは(有)クライマーズ所属の新進エンジニア、竹内哲郎さんのDRUMAGOG活用法の秘密に迫ります。
マニュアル通りの使用法にとらわれない斬新なアイディアをうかがってまいりました。
現場でフルに活用されている竹内氏のワザは必見!
また、竹内氏セレクトによる別売ライブラリを使用したデモサウンドも要チェックです!
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- DRUMAGOGを使い始めたのはいつ頃からでしょうか。
日本で紹介され始めた2年ほど前からでしょうか・・・。
digidesignのSoundReplacerの様なことがリアルタイムで出来るということでトライしてみたら見事にハマリましたね。
- 竹内さんのお仕事の中で、どんな場合にドラム・トラックに修正が必要だと感じられますか?
まず最初のケースは、プレイヤーの精度に問題がある場合ですね。
現在の僕の仕事ではもうそんな事は無いのですが、以前はたまにそんなセッションがありました。つまり、ドラマーのプレイにムラがあり過ぎて、キックやスネアのレベル、アタックが全く揃わないんですね。それをコンプやリミッターでつぶしたりしてみても使いものにならなくって・・・。こりゃもう差換えるしかないなと。
最近の使い方は、洋楽みたいに、オケに負けないだけのルーム感や存在感、特に自然なアンビエンス感をドラム・サウンドに求める時に、オリジナル・サウンドをまるごと差換えてしますような「修正」ではなくEQ、コンプ、リバーブのような音像コントローラーとしてDRUMAGOGを活用する、という考え方ですね。
- なるほど、音像コントロールですか。具体的にはどんな時にどの様に活用されているのでしょうか?
例えば、いかにも洋楽っぽいギター・サウンドの「壁」がアレンジの中心になっている曲があるじゃないですか。
Marshall みたいなハイゲイン・アンプとハムバッカー・PUのギターを複数パート、しかもダブルでダビングしてなんていう場合はどうしてもスネアやキックが「点」にしか聴こえなくなってしまうんです。
最近の仕事ではほとんど僕自身が録りの段階から参加しているので納得いかないドラム・サウンドでミックスしなきゃいけない状況はまずないんですが、それでもそのままじゃやはりギターの「壁」にマスキングされてしまう。昔はこういう場合にはEQ、コンプ、リバーブでヌケを良くする工夫をしていたんですよ。確かにそれでオケの中で聴こえるようにはできるんですがやっぱりかなり不自然で・・・。その後、試行錯誤の末にDRUMAGOGでアンビエンスを足してやることによって上手く音像をコントロールしてスネアやキックに自然なルーム感を加えて前に出してやる方法にたどりついたんですよ。
とにかくDRUMAGOG導入後はこういった作業が驚くほど効率的に出来るのでもう手放せないですね(笑)。
- アンビエンスを足してやるってことは単にオリジナル・サウンドを差換えるって訳ではないんですね?

もちろん。僕の通常の使い方ではオリジナル・トラックを完全に別サウンドに差換えてしまうことはないですね。
スネア、キック共にオリジナル・トラックを2トラック分デュプリケートしておいてDRUMAGOGを使って2種類のサウンドを追加します。
典型的なパターンとしては、スネア:TR1⇒オリジナル・サウンド / TR2⇒アンビエンス1 / TR3⇒アンビエンス2キック:TR1⇒オリジナル・サウンド / TR2⇒ローエンドを追加するシンセ系サウンド / TR3⇒アンビエンスという具合にスネア、キック共に 3つのサウンドを混ぜ合わせて使うという感じです。

その上で特にスネアのアンビエンス・トラックには曲のパートごとに細かくオートメーションを書いていきます。具体的にはギターの「壁」が入ってこない部分ではアンビエンス・トラックを下げるという使い方ですね。
以前はSoundReplacerでサウンドを書き換えてEQとコンプで加工して、それでもダメなら歪ませたスネアをちょっと足したりしていたんですが、DRUMAGOGを使うようになってからはこの方法一本ですね。
- アンビエンスを追加するためにどんなサウンドを良くお使いになりますか?
最近では録りのときにミックスでのDRUMAGOGの使用を想定してドラマーさんにアンビエンス用のワン・ショットのサウンドを録らせてもらうんです。

ミックスに入る前にそれを.wavファイルでセーブしておいて必要な時にDRUMAGOGにロードして使うんですよ。録音時のオリジナル・サウンドでアンビエンス用のネタを作っているわけですから、これ以上自然なものはない訳で、プレイヤー・サイドから見ても全く違和感なく受け入れてもらっています。
あとキックにロー・エンドを追加するシンセ・ドラム・サウンドはオリジナルで付属するライブラリの中のErectronic Drum Kick / Techno 5 というプログラムをEditしていつも使います。これは僕の中での定番ですね。
もちろん、その時の状況に応じて色々なサウンドを使いますよ。過去に自分で作ったサンプル・ファイルも沢山ありますし。既成のライブラリでは
STEVEN SLATE DRUMSと
RickWillDrumのサンプル集が大のお気に入りです。
洋楽のCDを聴いていると、「おっ、これはSTEVENのあのプログラムの音だ!」っていうの結構ありますよ(笑)。
- 竹内さんならではのアイディアや、これは!っていうような使い方は何かありますか?
DRUMAGOGに送る前の信号をSoundReplacerを使って安定してトリガーできる形に書き直すことはありますよ。
例えば各ショットのレベルに若干ムラがあったり、それが原因でうまくゴースト・ノートをDRUMAGOGがトリガーできない・・なんてことがあった場合、コンプやリミッターでいじくり回すよりSoundReplacerでベロシティを調整しつつ、DRUMAGOGがトリガーしやすいサンプルでまずスネア・トラック自体のサウンドを書き換えてしまうんです。そのトラックに対してDRUMAGOGで差換えをするとかなり狙い通りのトリガーが出来ますよ。まぁDRUMAGOG本体でも調整のしようがありますし他にも色々なやり方があるんでしょうけど、僕の場合はこれがベストですね。

あともうひとつ、これは音ネタ管理的なことなんですけど、KickやSnrを追加するのにKickのオン・マイクとオフマイク、SnrのTopとBottomなどペアで使いたいって時に僕はステレオの.wavファイルとしてLchがオン・マイクの音、Rchがオフ・マイクの音としてセーブしておくんです。で、Mono to Stereo プラグインとしてDRUMAGOGをインサートして、そのステレオ・ファイルをロードします。それからProTools上のミキサーでDRUMAGOG のアウトのLch とRch をバスで送り分けてそれぞれ1本ずつのフェーダーに立ち上げるんです。
こうすることによって一つのDRUMAGOGのインサートで 2種類のサウンドを別々のフェーダーでコントロールでき、ステレオ・ファイルにしてあるんで必要なペアのサウンドを常にずれなくロードできるんです。この方法は凄く便利ですよ。
取材協力
オンエア麻布スタジオ
http://www.softhouse-jp.com/onair/
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竹内氏 AUDIO DEMO
■ オリジナルトラック
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■
MoReVoX ELEKTROMORPH デモ
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RickWill Drums デモ
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■
Steven Slate Drums デモ
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■
Supersonic Samples デモ
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竹内哲郎 TeturoTakeuchi 1978.9.7生
【経歴】
RockDoor > PlanetKingdom > Climbers
【主な参加作品】
NEWS, テゴマス, 嵐, KAT-TUN, pigstar, BOOBEEBENZ. etc
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取材スタッフ コメント
新世代のエンジニア、竹内哲郎さんのDRUMAGOG使用法、いかがだったでしょうか?
これまでの常識や決まりごとにとらわれない自由な発想は、まさにクリエイター系エンジニアと呼ぶに相応しいものだと思います。
本国アメリカではきれいさっぱりサウンドを差換えするのが当たり前のようですが、竹内さんのように自由な発想でよりクリエイティブなツールとしてDRUMAGOGを活用していただきたいと思います。
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